今回の〈今週のオススメ本〉は、『デニス・レヘイン』(ルヘインということもある)の“探偵パトリック&アンジー”シリーズ。
「スコッチに涙を託して」、「闇よ、我が手を取りたまえ」、「穢れしものに祝福を」、「愛しき者はすべて去りゆく」、「雨に祈りを」まで。
その10年後くらいに出た続編の「ムーンライト・マイル」も読んだが、自分的にはいらないです。
たしか4作目の「愛しき者はすべて去りゆく」だけ、原作と同じタイトルの「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(Gone Baby Gone)として映画化され、日本は未公開ながら、Amazon Primeで見てけっこう忠実で良かった。
その4作目から話をすると、けっこう重いテーマで、読後感もあまり良くない。
この“探偵パトリック&アンジー”シリーズ、けっこう全編でそういう感じで、あまりスッキリと終わる印象がない。
ただどの卷もストーリーはしっかりしていて、二人の微妙な関係、ダークな登場人物、衝撃的な展開などで、ただただ読んでしまう。
1作目の「スコッチに涙を託して」は探偵物の軽いハードボイルド感が漂っているが、2作目「闇よ、我が手を取りたまえ」で圧倒され、3作目「穢れしものに祝福を」の二転三転する話に驚愕し、そして4作目の傑作「愛しき者はすべて去りゆく」につながる。
5作目「雨に祈りを」は4作目のことを引きずって進んでいくが、2人の親友“ブッバ”が活躍することもあり、この巻も圧倒される。
賛否両論?シャッター・アイランド
『デニス・レヘイン』はこれも名作「ミスティック・リバー」で最初知り、その後“パトリック&アンジー”シリーズを読んだ。
「ミスティック・リバー」は、クリント・イーストウッド監督で映画化もされ、映画もすごく良くできていた。
でも前にも書いた、クリント・イーストウッド監督・主演で、『マイケル・コナリー」原作「我が心臓の痛み」の映画化「ブラッド・ワーク」は、全くダメでしたが。
そしてこの『デニス・レヘイン』の原作、マーティン・スコセッシ監督で映画化された、レオナルド・ディカプリオ主演の「シャッター・アイランド」も有名。
実は最近、自分が『デニス・レヘイン』の本をほとんど買わなくなったのは、この「シャッター・アイランド」が原因。
原作ハードカバーで出てすぐに楽しみに読んだが、最後終わってから投げそうになった。
映画を見て知っている人も多いと思うが、いまさら、こういう結末を使っていいのだろうか。
映画ならまだしも原作でこれを使うなら、結末だけ先に書いて、そこまではなんでもありの世界になってしまう。
自分は、M・ナイト・シャマランの映画が好きでないのだが、それも同じような理由かも。
映画「サイン」は、姿が見えない恐怖が続き、最後に向かって仕掛けがあるかと思ったら、結局本当に宇宙人が出てきて、笑ってしまった。
何か昔からある“全ては夢でした”みたいな結末とかも、もう使っちゃいけないよね。