心に響く「少年時代」、『ロバート・R・マキャモン』の傑作。〈今週のオススメ本〉

今回の〈今週のオススメ本〉は、これまた古い1995年に初版発行された『ロバート・R・マキャモン』の「少年時代」。

この作家は出てきた当初、『スティーブン・キング』『ディーン・R・クーンツ』と並ぶ、モダンホラー御三家みたいな紹介をされていたような記憶が。

確かに最初の頃に出版された本は、キング、クーンツ風な内容が多く、どこかで読んだような内容が多かった。

1991年「奴らは渇いている」は、キングの「呪われた町」、1994年「スワン・ソング」も「ザ・スタンド」のオマージュ的内容。



今回紹介する「少年時代」も正直、キングの「スタンド・バイ・ミー」、「IT」と通じる、子供にしか見えないもの、そして成長して行く日常を描いた話。
ただ、キング「IT」がホラーに振り切った先品ならば、この「少年時代」はもっとノスタルジーに振った作品。

キングも手に変え品を変えして、ホラー、ミステリー、文学、最近はハードボイルド風なものまで書いているが、その点“ディーン・R・クーンツ”は、一貫して同じような内容を書いているのは、それでいて凄いけども。

子供の冒険の話は、小説だと“スティーブン・キング”、映画だと“スティーブン・スピルバーグ”。が一番

この「少年時代」タイトル通り、古き良き時代のどこか懐かしく、不思議な日常、家族、町の人、悪人なども素晴らしい。
子供だけができる空想、広く感じる町、世界、父親との関係、友達との関係、全てが濃密で愛おしい。

特に四、五十代の男の人(最近は性別で切るのは駄目だが)が読むと、少しノスタルジックな気持ちになるのでは。

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一九六四年のトム・ソーヤー

ハードカバーについている帯の背コピーが、“魔法に彩られた一九六四年のトム・ソーヤー”。
このコピーだけでも名作の匂いがするでしょ笑。

この「少年時代」もハードカバー、文庫両方買っているほど好きな本。
装飾や手触りなどは、やはり圧倒的にハードカバーが好きなのだけど、いかんせん持ち歩きは苦行になるので。

ついでに、1994年の短編集「ブルー・ワールド」も、マキャモンの中でも1、2位くらいの面白さ。
短編が12編入っているが、表題の“ブルー・ワールド”は300ページ弱の長さがあるので読み応えも十分。

そういえば前も書こうと思って忘れていたが、こういう古く再販もされていない本(前に紹介した『キース・ピータースン』なども)こそ、なぜ“Kindle”などの電子書籍で安く(古いんだから安くね)、販売されないのかね。
版権とかめんどくさいのではと思うが、名作もたくさんあるので、それらを“Kindle”で出してほしいと願う今日この頃。

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